フツーリーマンの雑記帳

過ぎてゆくいつもの毎日は、きっと特別な日々。歴史や経済、おでかけ情報を中心に発信します!

オリガミペイの落日

おはようございます、TASUKEです!

 

先週からauPAYの大型還元キャンペーンがスタートするなど、話題にこと欠かないバーコード決済の分野ですが、そのなかで退場していくプレーヤーもあります。

 

 

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バーコード決済の先駆者 オリガミ

 

オリガミペイ身売り!

1月下旬に新聞などで明らかになりましたが、コード決済の草分けとも言えるオリガミペイを提供する株式会社オリガミが、メルカリ傘下の株式会社メルペイに買収されることがアナウンスされました。

https://about.origami.com/press/2020/0123/

 

オリガミペイは2016年にいち早くスマホ決済(バーコード決済)のサービスを展開し、業界を開拓したパイオニアと言われています。

 

当初は前向きな統合という憶測もあったのですが、次第にその実態が明らかになると、事実上はオリガミの破綻をメルペイが救済するという図式であることが判明したのです。

 昨年末には時価総額400億円とも言われたオリガミですが、報道によると1株1円(総額は250万円ほど)というタダ同然の金額で売却されたようです。しかも、ほとんどの従業員は解雇されるという、経営者としては筆舌に尽くしがたい苦渋の決断だったと想像します。

 

for Startups,inc.が昨年12月に公表した情報によれば、Origamiは国内スタートアップの推定時価総額ランキングのうち16位にランクインし、その額は417億円にもなっていました。出資者によるOrigamiの価値は、スタートアップ界隈で例えれば「FiNCより下、ウェルスナビより上」という位置付けだったようです。

MONEY PLUS(https://media.moneyforward.com/articles/4379)より引用

 

 事実上の破綻ということが明らかになってから、オリガミの厳しい収支状況が明らかになっていきます。特に本社事務所が入居する 六本木・森タワー(かつてホリエモンのライブドアも入居していました)の年間賃料約3億円に対し、年間の売上高は約2億円との報道はセンセーショナルでした。「オリガミ」というネームバリューに対して収益が伴っていなかったことが改めて明らかになったのです。

スタートアップの場合、投資先行で赤字決算が続くこと自体は珍しくないのですが、あまりにも赤字額が大きいことと、競合他社とのキャンペーン合戦で収益改善の見通しが立たなかったところから、資金繰りがショートしてしまった模様です。

 

大手資本系との還元競争に敗れる

さて、事業の先が見通せなくなった最たる理由は、大手系事業者との競合激化です。サービス開始当初は目立った競合相手がいなかったものの、PAYPAYやd払い、楽天ペイなどの巨大資本系の参入が相次ぎ、各社がユーザーの囲い込みを目指して大型還元キャンペーンを仕掛けるようになると、オリガミは埋没していくようになります。

 

先週始まったau PAYのキャンペーンなんかされると太刀打ちできません↓

 

www.au.com

また、スタートアップゆえに少人数で運営しており、加盟店開拓のペースについても、大手には追随することが難しかったようです。(ファッション系のお店には強かったりするのですが)

オリガミの加盟店は20万店前後とPay PayやLINEペイなどの比較すると加盟店の数が一桁少ない状態が続いていました。営業力の不足を補うべく、全国の信用金庫と提携を結んで、個人事業主を中心とした地方への加盟店拡大を狙っていたようなのですが、志半ばで終戦を迎えた形です。

突如発表されたメルペイへの吸収は、信用金庫関係者には寝耳に水だったようです。

 

メルペイ×オリガミ連合の展望

弱者連合とも揶揄されるメルペイ・オリガミ連合の行方ですが、行く手は厳しいと思われます。メルペイを擁するメルカリについてもオリガミ同様に元はスタートアップ企業であり、巨大資本というわけではありません。既にメルペイ事業で本業であるフリマ事業での利益を食いつぶし、赤字を計上している状態です。一方で、ソフトバンク系であるPay Pay、携帯キャリア系のd払い、au PAY、EC大手の楽天PAYなどは本業の基盤が巨大なので、還元キャンペーン競争に耐えられる収益基盤があります。

 

厳しい状況ですが、メルペイ×オリガミ連合による次なる一手が気になります。

 

決済ビジネスの収益スキームについて

還元キャンペーン合戦が続き、コード決済各社とも決済事業で赤字が続いている状況です。そもそも決済ビジネスの事業スキームは本来どのようなものでしょうか?

決済ビジネスの古株であるクレジットカード業界では、加盟店(カードが利用できるお店)からカード利用額に対して2.0~5.0%程度の手数料を得ています。(業態や企業規模によってはもっと低い手数料率も)

したがって、カード会社の通常のポイント還元率は0.5~1.5%であることがほとんどです。それ以上の還元は逆ザヤになってしまうわけです。

 

上記をふまえると、コード決済各社がいかに利益度外視で還元合戦を広げているかが、分かるかと思います。しかも、一部の事業者では加盟店手数料率を0%に据え置いているケースもあります。

 

コード決済各社の狙いとは?

 それでは、なぜ各社は収益を削ってまでユーザーを囲い込もうとしているのでしょうか?それはズバリ、決済を握る者が膨大なマーケティングデータを手にするから、にほかなりません。人々がいつ・どこで・何を買っているか?が分かれば自社の販売施策に生かせることはもちろん、他社にデータを販売することで大きな利益を得ることが期待できます。

しかし、決済データが分散(ユーザーに使い分けられる)してしまうとマーケティングデータの信頼性が落ちてしまい、有効性が半減していまいます。そこで、各社とも自社のコード決済で囲んでしまおうと、あの手この手の施策を実施している状況です。

 

ただし、消費者は賢く利用先ごとに最適な支払い手段を使い分けており、各社の思惑通りには進んでいないのが現状ではないでしょうか。

 

今回はここでお終いにしたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。