フツーリーマンの雑記帳

過ぎてゆくいつもの毎日は、きっと特別な日々。歴史や経済、おでかけ情報を中心に発信します!

眠れないほどおもしろい 百人一首

ガラにもなく、百人一首の本を読んでみました。
平安貴族たち、皆さん情熱的です。というか大人のネタが満載。
(子どもの時に知ったら赤面するかも!)


貴族たちよ、ちゃんと政治してね・・・。
あ、でもこの人たちにとっては、歌を詠むことが政治の一部(もしくは大部分)だったりするのか。


古代~平安時代にかけての日本は怨霊鎮魂が強烈に重視されていたので、
恨みを抱いて死んでいった人を歌に詠んだり、または、その人の歌を歌集に納めたりすることで鎮魂を図った側面は無視できないのです。
怨霊鎮魂については、菅原道真を祀った天満宮が最も象徴的かと思います。


道真は無実の罪で都を追われて太宰府に流され、失意のうちに亡くなります。
その死後、天変地異や道真失脚に関わった関係者が次々に病死するなど、当時の朝廷は震え上がりました。
そして道真の霊を慰めるために創建されたのが、京都の北野天満宮というわけです。
臣下である人間が神格化されるのは極めて異例でしたので、いかに道真の祟りを恐れていたかが分かりますね。


話が少し横道に逸れてしまいましたが、
小学生の頃、百首全部を暗唱(課題として半強制の結果ですが)していたので、懐かしさも手伝ってサクサクと読み進めることができました。
ただし、当時は意味もほとんど分からずに覚えていたので、改めて意味を知ることで、感慨深いものがありました。
「あの歴史上の人物がこんな歌を詠んでいたのか!」などと思うと、旨味が染み出してくるわけです。


特に、99〜100首目が良い。承久の乱で敗れ去った後鳥羽院、順徳院の歌なのですが、世の無常や人生の悲哀を語りかけてきます。
怨念を抱いてなくなったであろう人物をトリに持ってきたあたり、やはり供養の意図が感じられますね。(一首目の天智天皇についても暗殺疑惑あり)
少女漫画風のカバーにひるみながらも、とにかく読んで良かった一冊。